歩き1人旅

歩き旅〜中国地方編〜 5/10

5月10日

かなり長い間寝てしまったようだ。目覚めると天気がとても良く、太陽もまあまあ高いところまで上がっておりテント内が熱くなって来ていた。
体を起こしてみて驚いた。なんか目まいがする。というか、平衡感覚がとてもおかしい。
そしてとても気分が悪く、吐き気こそないが身体の感覚がおかしい。
この体調はまずいと思いテントから出ようとするが、気持ち悪すぎて全然動けない。
完全に水平の場所にテントを張っていなかったため頭が上か下の状態になっており三半規管がやられたのかと思い、とりあえずリュックを枕にして、頭を高めにして横になる。
そして30秒くらい毎に左を向いたり右を向いたりし、平行間隔を戻そうとするがとにかく気持ち悪い。
感覚的には、以前温泉に行った時に熱めの浴槽から出た直後に具合悪くなり、気づいた時にはその場で倒れており、少しの間気を失っていたのだが、その時の具合の悪さと似た感覚である(その温泉で気を失った時は、意識を取り戻した後も1時間位は命の危険を感じるほど具合が悪かった)。
今回はその当時の感覚よりは若干軽いものではあるが、テントから出られないほど具合が悪い。
「とにかくまぁ死ななければいいや」と思いながらリュックを枕にしたまま、しばらくの間頭を左に向けたり右に向けたりしていた。
そのうちに30分から1時間ほど寝てしまった。

次に目覚めた時には2人ほどがテントのそばを歩く足音が聞こえた。
幸い身体が少し動くようになったので、テントから顔を出してみると、1人は釣り人で、もう1人はそうでないようだった(その後、わかめを収穫して戻ってきてたので、わかめ採りの人だと分かった)。
ちょっと仮眠をとれたものの、具合の悪さは少ししか軽減されていないので、とりあえずゆっくりと少しずつ荷物をまとめることにした。ちょっと作業するとまた頭を高めにして横になり、またちょっと作業をする事を繰り返し、2時間近くかかったが荷物とテントを撤収することができた。

考えてみると4月1日からこの旅を始めてまだ1日しか休みを取っていない。疲労が溜まっているのであろうか。あるいは体重が減りすぎているのであろうか。
以前温泉で気を失った時も、体重と体脂肪がかなり低めの状態であった。このような状態だと自分は立ちくらみなどを起こし易い。
思ってみると、お風呂で鏡を見た際に二の腕や腹筋の上からも薄っすらと血管が見えるほど体脂肪が低くなっている。休息や脂肪が必要なのかもしれない。

とりあえず食べ物や飲み物を補給しなければいけないので、ここから歩いて1時間ちょっとの道の駅まで歩き、そこで今日はしっかりと休む事にしようと決めた。

空腹感はあるが食欲が全くないので、何も食べたり飲んだりしないほうがいいと思い、とりあえず何も胃に入れていないまま歩いて行くと食料品店があった。有難い。
ここで食べられそうなものを購入した。

日が照っていて暑くはあるが、道の駅までのあと2キロは歩いて行けそうな感じなので引き続き頑張って歩いていく。

そうして道の駅に到着。

ここはかなり大きい道の駅であり、直売所やレストラン、少し向こうにはガソリンスタンドも見える。

休憩できそうなベンチがあったので、ここで先程のお店で買ったヨーグルトとバナナ2本を食べることにした。
かなりの空腹だったので、食べ物が胃に入っていく感覚がしっかりと感じられ、またとても美味しく感じられた。
食べ物がちゃんと食べられる、それだけでとても有難いことだなんだと改めて強く感じた。

お腹が満たされたので、直売所や道の駅の周りを少しウロウロしてみる。
道の駅の旗が可愛かった。

なんとこの道の駅、石見神楽が見れる劇場がある。
しかも月に2回の公演でありながら、今夜がそのうちの1回である!
これは見るしかないと思い、夜までこの道の駅にいることとした。
正直なところ、エンターテインメントに飢えている自分がおり、どこかの都市で映画かなんかを見れたらいいなぁ〜などと昨日くらいに思っていたので、これは本当に有難い巡り合わせであった。
ポスターに貼られている電話番号に電話をし、席の予約をする。鑑賞料金が1000円ということであった。これは安すぎるのではないか。

そうして道の駅を見て回ったりベンチで休んだりをしていると夕方前になり、ちゃんとお腹も空いてきてくれたので、お昼に行ったお店で買ったき寿司(きずし)と、道の駅で買った豆腐と卵焼きを食べた。
き寿司は数日前に食べたものと比べると格段に美味しいものであり、まずイワシが大きく分厚いので旨みがとても強く感じられる。下のおから部分も甘みと酸味のバランスがちょうど良い味付けで、満足の一品であった。
豆腐も柔らかめではあったが美味しいものであった。そして厚焼き卵であるが、1口かじって美味しくて驚いた。ちょっと甘めではあるが、卵のおいしさをしっかりと感じることができるものであり、夢中で食べてしまった。えごまマヨネーズ入りとあるが、自分には、その味はわからなかった。ただ、卵焼きではあるが、所々ゆで卵を食べているかのような旨味というかコクがあったので、これなのかなと思った。

空腹に染み入る感じのご飯は本当に美味しかった。
こうしてご飯を美味しくいただく事のできる身体がある。普段意識しない事であるが、とても恵まれたことなのだと実感した。

そうして腹ごしらえをして、夜の神楽を待ち望みながら道の駅を探索。
今まで訪問した道の駅には無い、24時間空いている情報コーナーがあり、観光情報のチラシが置いていたり、いろいろなイベントのポスターなどが貼られていた。
そして何よりゴミ箱があるのが非常にありがたい。歩き旅で困るのがゴミの処理である。いつもはコンビニやスーパーにて何かを買った際に、「すみません」と言う気持ちと共にできるだけ圧縮したゴミをゴミ箱に捨てているが、こちらの道の駅では普通に捨てさせてもらえるのでとても有り難かった。

そうして観光情報を見ながら歩いて周っていると、やはり身体が疲れているのを感じた。
できれば横になりたいがそれはできないので、ベンチに座りながらブログを更新することにした。
1日分を書くのに1時間半から2時間がかかるため、3日分ほどしか更新できなかったが、それでも充分と思い石見神楽の公演時間まで過ごした。

そうしていよいよ待ちに待った公演時間がやってきた。
中に入り鑑賞料金を支払うと、本日の演目2本についての情報が書かれた紙をもらい、指定された席につく。初めての鑑賞と言うこともあり、またエンターテイメントに飢えている事もあり、ワクワクが止まらなかった。
そうして時間になり、神楽が始まった。

まず太鼓の大きな音が身体に響き渡り、それだけでいきなり魅了されてしまった。
大太鼓・小太鼓・銅拍子・横笛の奏者4名が向かって左に位置し、メロディー/リズムを奏でながら、演者が中央で舞を踊る。時折り話しをしながら演じる演者の動きはとても滑らかで練習の賜物と感じざるを得ないもので素晴らしかった。
各楽器の音やリズムも聞いていてとても心に響く。横笛の奏者があれだけ短い息継ぎでよく笛を吹き続けられるな〜と感心させられた。水泳の息継ぎよりも短いものなのではないだろうか。それを言うと歌手もそうなのであろうが、やはり磨き上げられた技は見ていて凄いと思った。

そうして気づくとあっという間に1つ目の演目が終了していた。お面を外しての演者の紹介があった後、小休憩に入った。
2つ目の演目も楽しみでしょうがなく、ずっとワクワクしていた。
そうして2つ目の演目「大蛇(おろち)」が始まった。これは石見神楽を代表する演目であるようで、大きな大蛇が4匹表れ、須佐之男命との壮絶な闘いを演じており、とても迫力があり見応え抜群であった。

そうしてあっという間に2つ目の演目も終了し、演者・奏者の紹介の後、お開きとなった。最高に充実した夜となり、興奮冷めやらぬまま近くでテントを張れそうな場所まで行き、テントを張って寝ることとした。
劇団の皆さんは練習をしていたのであろうか、公演終了後もしばらくは(23時過ぎでも)神楽の音が聞こえていたので、これには驚いた。あれだけ素晴らしい公演をした後でまた練習を行なうのだ。
そうこうしているうちに、神楽の音を聴きながら眠りについてしまった。

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