歩き1人旅

歩き旅〜中国地方編〜 5/15

5月15日

昨夜は酔っ払ったまま寝てしまい、とても自堕落な形での就眠となった。
目が覚めるともう朝であり、体調も少し回復していた。
3日目となるが、今日も出雲大社に参拝をしに行き、そのまま次の目的地へと足を進めることとした。
だが、次にどこに行くかを全く決めていないので、それも考えながら今日は一日過ごす事とした。

出発の準備をし、荷物も全部リュックに詰めて宿をチェックアウトした。
早朝の6時台は、やはりまだかなり寒い。
この3日間宿で寝ることができて正解だったと思う。

今日は出雲大社まで公共交通機関で行くことにし、調べてみると宿のすぐそばから乗れるバスで行けることがわかった。
バス停に着き、バスが来るまで7分ほどあったので忙しないが朝食を食べることとした。
昨日買っておいて宿の冷蔵庫に入れておいたヨーグルトとバナナをかき込む。
急ぎ気味での食事ではあるが、空腹にはとても美味しく感じる。

そうして食べ終わると間も無く、バスがやってきたので乗る。
バスに乗っている間に次に何処に行くかを考える。せっかくなので鳥取砂丘を見てみたいとも思った。
砂丘に行けた後は、10年ほど前に四国のお遍路を歩いて以降、前々から興味のあった「熊野古道」を歩くのも最高ではないか、などと考えているうちに、出雲大社近くへと着いた。

今日も天気が良くて気持ちが良い。
3日目となる参拝をしっかりとさせていただこうと思う。

今日も骨董市の皆さんは、元気に商売をしているようである。

見てみると、参道の近くで相撲の準備をしているようである。
この大祭礼、相撲も行われるとは凄い。

そうして参道を歩いて行き、中の鳥居の前に到着。
鳥居を通ろうと思ったが、50代位の夫婦の方が鳥居の前でお互いに写真を撮り合っていたのに気づき、「写真をお撮りしましょうか?」と声をかけるととても嬉しそうに「お願いします」との返事を貰えた。
夫婦の写真を撮った後、スマホを返すとその夫婦に旅人なのかと聞かれたので、鹿児島から歩き旅をしている旨を伝えると驚いているようであった。
この先どこへ向かうのかと聞かれたので、先ほど考えていた今後の行き先として、今まで行きたいと思っていた「熊野古道」の名前を挙げると、なんとその夫婦は和歌山から来ているとの事であり、熊野古道は歩いたほうがいいですよとオススメされた。
人の出会いとはなんとも面白いものである。これは是非とも熊野古道へ行くしかないと思った。
そうしてその夫婦と少しお話をした後、挨拶をして別々に参拝することとなった。

社務所の天井部に、イソヒヨドリが巣作り中である旨の注意書きがあった。
たとえ巣作り中でも、それを退かすことなく優しく見守る姿勢の神社が素晴らしいと感じた。

そして昨日電話をくれたHさんには大変良いタイミングで元気をもらえたので、そのお礼も込めて社務所にて絵馬を買い、Hさんの幸運を願って書き、それを絵馬掛け場にぶら下げた。

拝殿の天井部もよく見てみると、カラスよけなのか鳥が止まれないような工夫が随所に施されていた。

中の鳥居の側に牛の象と馬の像があり、見ていると参拝者がお賽銭を入れ、牛の像を撫でたり、馬の像を撫でたりしていた。
牛の像が学問成就、馬の像が子宝祈願のようであった。
自分もお賽銭を入れ、参拝させていただく。

そうして一通り参拝後、3日間に渡る出雲大社での参拝を終える事とし、次の目的地となる熊野古道へと向かう事とした。
せっかく山陰まで来たのだから、やはり鳥取砂丘にも寄ってから和歌山方面へと向かうことにした。

勝手に写真を撮ってしまったが、山下達郎夫妻の寄進による提灯が掲げてあった。
スマホで調べてみると、奥さんの竹内まりやさんの実家の旅館がこの付近であったり、ご夫妻の結婚式を東京の出雲大社東京分祠で挙げられたとのことが書かれていた。
とても興味深い。

見ると、イソヒヨドリさんかな(?)が、散歩をしていた。
微笑ましい光景である。

何やら本殿の方が賑わっているようなので、再び戻ってみると何かが行われる雰囲気であった。

見ていると、笛を吹いたり太鼓を叩いたりしている男性たちがぞろぞろと出てきて、その後ろを神輿を担いだ男性たちがまたぞろぞろと出てきたではないか。
これはとても良いタイミングで居合わせることができた。

自分はお祭りが大好きであるので、こういった神輿などを見るのも大好きである。
笛と太鼓のリズムと音色がまた素晴らしい。
日本人でよかったなぁ〜と感じるひとときである。

神輿のあとを馬に跨った神官の方がゆっくりと進んでいく。厳かな雰囲気である。
昨夜、梅酒梅で酔っ払ってそのまま寝てしまった自堕落な人間だが、神聖な儀式を見物させていただく。

馬と神官の方の周りを、自分を含めた見物者がぞろぞろと囲みながら歩いて行く。
その後ろを、綺麗な衣装に身を包んだ稚児行列の子供たちがぞろぞろと歩いて行く。

そうして神輿の行列が進むのを見ながら、鳥居の前まで来た。どこまで進んでいくのかと気になる。

すると、歩行者用信号が青になったタイミングで、ぞろぞろと横断歩道を渡るではないか。

見ていると、なんと馬と神官の方も青信号のタイミングで横断歩道を渡るではないか。すごい。

そうして稚児行列が門前商店街の入り口に入っていくのを見届け、再び鳥居の前にてお辞儀をし、この3日間参拝をさせていただいた感謝と新たな目的地へと歩き始める旨を伝えた。
出発しようと振り返ると、午前中に出会った夫婦が鳥居の前でお互いの写真を撮っているではないか。何という偶然。
再び写真を撮りましょうかと提案する。
夫妻もまた、自分に遭遇した偶然、いや面白さに少し笑っており、写真お願いしますとのことであった。
そうして夫妻の写真を撮り、これから出発する旨を伝えると、「良い旅になることを願っています。熊野古道もぜひ歩かれてください。」とのお言葉をいただけた。
改めてお礼を伝え、自分も夫妻に帰りの旅も楽しんでくださいと伝え、再び東へと歩き始めた。

3日間この地にて滞在することができ、その間も毎日歩いてはいたが、精神的にもある程度の休息を取ることができた。
疲労の蓄積は解消されてはいなく、足取りは決して軽くはないが、出雲大社にて参拝する事ができ大祭礼にも立ち会うことができ、また人の縁にも感謝する出来事もあり、心はとても満たされた気分である。

今夜はどこで寝ようかと、歩きながら少し調べてみると「平田森林公園」と言う無料のキャンプ場があるようであった。
こちらは、管轄の役所に電話をし予約をして利用するとのことであったので、早速電話をしてみる。
すると、利用しても良いとのことであり、自分の他にもう1組今夜は利用するとのことであった。
お礼を伝え、そのキャンプ場を目指して歩いて行く。

カタンコトンとワンマン電車が走って行く。
昨日利用した電車はオレンジ色であったが、こちらは白い。
なんとものどかな光景である。

そうしてしばらく歩き、こちらのスーパーに寄り、本日の夕食と明日の朝食を購入。
スーパーはどんなものが売っているのか見て回るだけでも本当に楽しい。地元の食材がいろいろ置いてあったりし、大変興味深い。

そうしてキャンプ場に到着。
お腹がペコペコであったので、こちらのベンチにてまずご飯を食べることとした。
見てみると、ここはテント場とトイレの距離がまあまあある立地のようである。

今日も美味しくご飯をもりもり食べる。
お惣菜はどれも味付けがしっかりしており、歩いて汗をかいた自分の身体に染み入っていく。
セロリとアスパラガスは、飲料水で少し洗った後、生でそのままいただく。
食後のデザートの湯葉も美味しくいただいた。

そうして満腹感に包まれながら、そのベンチから下に降りてゆく斜面を下ると、屋根付きの炊事場があった。その炊事場の右に広がる草っ原がテントを張って良い場所のようである。
できるだけ平たい場所にテントを張る。今夜は寒そうなので、しっかりと着込む。
そしてまもなく、日も暮れて暗くなってきた。

歯磨きをしようと炊事場へ行くと、40代位の夫婦の方が炊事場のすぐそばにテントを張っていた。
お話ししてみると、2人で色々な場所にてキャンプをしているようで、YouTubeチャンネルも「細々とだがやっている」と言い、チャンネル情報などが書かれたステッカーを渡してくれた。


聞くと、このキャンプ場はトイレが遠いので簡易トイレを作ったと、テントの隣に立てている細長いテントを指差した。
なるほど、これなら夜中にトイレに行きたい場合も暗い中歩かなくても良く、尿意もそこまで我慢しなくて良いので楽である。アイディア次第でいろいろ工夫ができるのだなと感じた。

このキャンプ場は目の前に大きい木があるのだが、その池の向こう側でもテントを張って良いとのことであった。
だが、そちらにはトイレがないので、こういった携帯トイレを用意すると向こうでも快適にキャンプをすることができる、などと色々と話を聞かせていただき勉強になった。

そうしてその夫婦との会話を楽しんだ後、歯磨きなどをしてテントに戻った。
今夜は冷え込みそうなので、寝袋に包まりその上からアルミシートをしっかりと巻きつける。
そうしているうちに眠りに落ちてしまった。
今日も大変充実した1日であった。

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