歩き1人旅

歩き旅〜中国地方編〜 5/8

5月8日

そうして震えながら眠りに就いたが、孤独感と罪悪感と怖さと寒さに苛まれた一晩であった。

5時前に目が覚め、外を見てみると雨が止んでいたのでテントを撤収し、その場で少し乾かそうとテントを広げて立っていると雨が降りはじめてしまった。
慌ててテントを丸めてリュックに入れる。そうして今日も出雲に向けて東へと足を進める。

狭い歩道は常に車を気にして歩かなければならず、また車が通る際もできるだけ体を歩道側に寄せるため、なかなか気を使う。
ここから歩道が狭いと書いてくれているだけでも有難い。

とにかく体が寒いので長袖や上着なども着るが、それでも体が温まるまではかなり時間がかかる。
雨も強く、傘をさしながら歩く。遠くを見ると小学校のグラウンドがまるで水田のようになっている。本州の雨はすごい。

そして歩いて行くとお腹が減ってきたので、休憩できそうな場所を探し歩いて行くと、海岸沿いに休めそうなスポットがあった。

この屋根付きの休憩スペースは、見ると1/4ほどが雨に濡れないようになっており、ここでとりあえず正座して休ませていただくこととした。
海岸沿いということもあり、風が強いのでとにかく寒い。

そして震えながら、昨日に引き続き美味しい納豆をいただき、焼き豆腐やナッツもいただく。豆&種子づくしである。
ただ座っているだけなので身体がどんどん冷えて行き、少しずつ指先の感覚がなくなっていく。
そして体が冷えきっているからか、お腹が膨れると感じるまでかなりの量のナッツを食べた。

屋根があるとは言え、雨風の強い中でブルブルと体を震わせながら正座をし食べ物を頬張る。
自分は何をしているんだろうとなんとも虚しい気分になるが、ご飯はちゃんと美味しい。
そうしてエネルギーを補給し、震えながらではあるが再び歩いて行く。

体温を高めるため少し早めのペースで歩く。とにかく震えが止まらず、震えのリズムも少し不規則である。相当身体が冷えてしまったようだ。
身体が温まってくるまでかなりの時間がかかった。雨の日は本当に辛い。

そうしてこちらのスーパーに寄り、晩ごはんの食料を調達しようと色々と食べ物を見ていると、鮮魚コーナーにいた男性から声をかけられた。
自分が旅をしている事を軽く話し、また男性も軽く自身の話しをし、出雲に行くなら出雲大社から西に向かうとある日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)に行くのもオススメだよ等と教えていただいた。
その男性にお礼を伝えて買い物を続けようとしたところ、なんと餞別として色々と食べ物をくれたではないか!
有り難過ぎる。特に今日のような雨で寒くて辛い日は精神的にもなかなか堪えるものがあり、そのような時に人の優しさに触れると一段と有難く感じる。
その優しさが心にジーンと響く。
旅が終わった後にはこの男性に何かお礼の品を送ろうと強く感じた。

そうして引き続き出雲に向けて足を進めていると、道の駅に到着。
有難くトイレを使わせていただいた。寒いと特にトイレが近く感じ、そのトイレを我慢するのがまた尿意が限界に近づけば近づくほど苦行に感じる。
このタイミングでのトイレは本当にありがたかった。

見ると可愛いキャラがいるではないか。島根県の観光キャラ「しまねっこ」である。
神社をイメージしたキャラなのであろうが、なんとなく温泉感が出ていて、これがまた自分的には可愛い。

そうして再び足を進めていく。
すると道の駅を出て間もなく、マラソンランナーのような人とすれ違った。かなりの長距離を走っているような出で立ちであり、ただならぬ雰囲気を醸し出していた。
ゼッケンをしていたがしっかりと見る余裕がなく、遠くから写真を収めるだけとなった。
ちょっと調べてみたところ、おそらく「本州縦断 青森~下関 1550km フットレース」なのではないかと思うが、4桁の距離を走る行為をするのが凄すぎて驚きである。マラソンの42キロを走破するだけでも物凄く長いであろうに。1,000キロを超える距離を走る超人がいるとは。
世の中本当に色々な人がいるものである。

そうして歩いていくと間もなく風の強い場所に着き、「これはテントを乾かせる!」と感じたので、休憩を兼ねてテントを乾かすことにした。
まずはグランドシートを両手に広げ風になびかせる。風が強いので手を離してしまうと大変なことになるが、しっかりと握りながら10分程度乾かすと完全に乾いた。
次にレインフライを乾かす。これも同様、両手に広げてバサバサしながらしばらくの間乾かす。
これも10分程度で完全に乾いた。

途中、自分が歩く方向とは逆方向から、歩き旅と思われる大きめのリュックを背負った50歳ぐらいの男性が反対側の道を歩いているのを見かけた。
思えば自転車旅をしている人は多く見かけるが、自分以外にも歩き旅をしている人がいるんだな~としみじみ感じた。
シェラカップをリュックの横につけて歩いているところを見ると、かなり旅慣れた感じなのであろうと見受けられた。
この人の靴は登山靴のような硬めの靴を履いていた。足にマメがたくさんできないのだろうかと少し不思議に思ったが、旅の達人ともなれば硬めの靴になるのであろうか。

そんな事を考えながら、最後にテントを乾かす。これも風に煽られながら両手広げてバサバサとやる。
10分ほどでこれも完全に乾く。これで安心してまた乾いたテントで寝ることができる。
雨風を凌げて安心して眠る場所があるということが、本当に幸せなことなんだなと改めて実感した。

決して手相を見せている訳ではなく、 30分以上強めの風にさらされながら突っ立っていたので、体がまた冷えきってしまった。
写真ではよく見えないが、手が若干青くなりはじめており、指先の感覚もあまりない。
とりあえずまた震えながら歩き始める。

細めではあるが筍が勢いよく伸びているのを見る。凄まじい生命力である。

途中こちらのスーパーにも足を運び、少し食材を追加で購入する。
今日は体が2度冷えきってしまったからか、半端ない空腹感を感じる。
そうしてご飯を食べられそうな場所を探し歩いて行く。

公園の片隅でちょうどいい場所があったので、晩ごはん休憩をとることにした。

こんなにも沢山のものをいただいてしまい、感謝してもしきれない。
どれもただでさえ美味しいものなのだが、お腹が本当にぺこぺこであったのでそれがまた美味しさを数倍にも上げ、とにかく夢中で食べた。
あのスーパーの男性の優しさが改めて心に染み、ジーンとなる。

メカブまでいただき、本当に有難い。旅が終わった後は、しっかりとお礼をさせていただこうと思う。

他の物も美味しくペロリと平らげた。我ながら驚くほどの食事量である。
久々に「食べた~」と感じる満足感であった。
今日の三大苦である、「寒く、眠く、空腹」であった辛さがあったからこそ、今この瞬間に感じる幸せがとてつもなく大きい。
マイナスが大きければ大きい分だけ、その後に感じるプラスが大きいのであろう。なんとなく人生というものについて、少しだけ学び得た感覚があった。

大きな橋があった。この角度から見ると勾配がなかなか強めに見える。
この橋があるだけで人々の生活の利便性が大きく向上する。人間は本当にすごいものを作るな~と感じる。

そうして日も暮れてきたので、コインランドリーに入って洗濯をしながら今夜はどこで寝るかを考える。このコインランドリーは、コンビニやドラッグストアが隣接しており利便性の高い立地にある。

雨でずっと濡れたままの靴を洗って乾かす。
濡れたその日に洗濯&乾燥を行えばそこまで問題はないが、1~2日濡れたままにしておくと、一日中歩くこともあり匂いが大変なことになる。
自分が納豆を毎日食べるからなのかは分からないが、足を優しく包み込む物であるはずの靴がいきなり納豆系の恐ろしい芳香を放つ物と化してしまう。
温泉や銭湯を探せなかったため、昨日・今日と2日間お風呂には入れていないが、こうやって衣類や靴を洗濯できたのは非常に心強く有難い。

そうして今夜寝れそうな場所に目星をつけ、衣類と靴の洗濯&乾燥も無事終わり、外が暗い中で目的地と歩いて行った。
そこで無事テントを張り、就寝。
今日もなんだかんだで辛くはあったが、その分嬉しさも一段と大きく感じる1日となった。

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