4月23日
思ったよりはしっかりと眠る事ができた。
天気は曇りではあるが、夜中に雨が降ったようである。
朝露もありテントが濡れているので、とりあえず歯磨きなどをした後でいつものようにテントを乾かす事とした。
まず荷物をまとめてテントを空にし、ポールがついたままのテントを両手で持ち上げて左右に振り回して乾かす。
ある程度乾いたら、レインフライを外して両手で持ってバサバサしながら乾かす。
それが終わるとポールを外してテントをバサバサして乾かす。
そしてグランドシートもバサバサして乾かす。
このテント一式を乾かす行為は、長い時は1時間程ずーっとバサバサしているので、朝からなかなかの運動量となる。
そうしていると管理人さんのお父さん(?)がやって来て、テントを干せる場所があるのでそこで乾かしな〜、と言ってくださった。

そうしてお言葉に甘えてテントとグランドシートを干させていただいた。
有難い事にバケツとクロスも貸していただき、グランドシートの底を拭かせていただいた。

テントなどを干している間に朝ごはんを食べる。
厚揚げもざる豆腐も美味しい上に、大好物の落花生がまた美味しい。お腹が空いている時はなんでも一段と美味しく感じる。

ふと見ると、上着にてんとう虫のような虫さんが止まっていた。なんか可愛い。
そうしてテントとグランドシートを乾かした後は、レインフライも干させていただいた。
このような設備を使わせていただいて人力を使わずに乾かす事ができてとても楽であり助かった。

そうしてテント一式が乾いたら荷物をまとめ、管理人さんのお父さん(?)に改めてお礼を伝えた。
お父さん(?)はキャンプの経験がかなり豊富なのであろう。近隣のキャンプ場の情報や、野宿ができそうな場所などを教えてくださった。
それらについてもお礼を伝え、出発する事とした。
今日は霧雨のような天気であるので、リュックにはザックカバーをかけて折り畳み傘をさしながら歩く。
パートナーから連絡があり、ゴールデンウィークに実家のある広島県に来れるかもしれないとの事であった。
なので、それに間に合うようにこれからは中国地方を目指して北に進む事とした。

途中、うつくし谷渓谷への入り口を示す看板があった。
携帯電話やスマホが圏外になるとの記載があり、何かあった時のために2人以上で入谷するようにと書いてある。
渓谷に入るにあたっての警告である。

しばらく林の中を歩いて行く。霧雨が晴れたので、傘を畳んで歩く。
風が強くはないが吹いているため、暑くなくて良い。

朝ごはんが足りなかったのか、途中でお腹が空いて来たので落花生と素焼き大豆をぽりぽりしながら歩く。
自分的にはなかなか良い組み合わせである。

山の間に厚めの雲がかかっている。
今日はずっとこのような天気なのであろう。

歩いているといきなり目線が変わったので驚いた。足が滑ったようだ。

見ると、靴底がツルツルになっている箇所があり、3週間ほどの歩行でこれ程まで擦り減るのかと驚いた。

ずっと向こうまで雲がかかっているが、とりあえず大雨ではないので歩き続ける。

大型車は通行止めの旨の立看板があった。自分は歩行者なのでそのまま歩く。


グーグルマップにて徒歩でのルートが示す通りに歩いているが、何やら高速道路っぽい雰囲気の道路である。

なかなかの速さの車が横をビュンビュン走って行く。ちょっと怖いがとりあえず進んでいく。
内心、「おいっ!グーグルさんっ!この道で大丈夫なのかいっ!」と心の中のなかやまきんに君が叫んでいるが、今日はテントを干す作業が予想よりも2時間程長くかかってしまったため、かなり遅れ気味のペースであり、そのまま進んでいく事とする。

トンネルに入ると相変わらず横を車がかなりの速度で走っているが、ある程度の歩道の幅があるため、出来るだけ壁側に沿って歩く事でやや安心出来る。

なかなかの長いトンネルである。
そうして歩いて行くと、遠くにトンネルの出口が見えて来た。
、、、と同時に、向こうの方から警察官が自分の方に向かって歩いて来るのが見えた。
最初は「??」となったが、引き続き自分の方に向かって歩いて来るので、これはおそらく自分が何かやらかしたのであろうと思い、鉢合わせるまで歩き続ける。
そうして警察官の方の所まで行くと、「ここは無料高速で、歩行者は通行禁止なんです!」と言われた。ガビーン。
「とりあえず私について来てください!」と言われたので、その警察官の方の後ろについて歩き、トンネル出口まで行く。
そして停まっていたパトカーに乗せられて、質問に答える。
「ここは高速道路なので、徒歩や自転車での通行は禁止なんですよ」と言われたので、「すみません、、知りませんでした」と正直に伝えた。「何処から高速に入って来たのですか?歩行者通行禁止の看板が見えなかったのですか?」と聞かれたので、「入り口に“大型車通行止め”の大きな看板があったのは見ました」と伝えた。
そして職務質問が始まったが、身分証明書として何も携帯しておらず、ここに来て免許証を持ってくるのを忘れた事の重大さを感じた。
だが、以前実家の母に撮ってもらった免許証の写真(ネットカフェの登録に使用)があるので、それを提示した。
警察官の方はそれを見てメモをとり、もう1人の若い警察官の方にそれを渡して照会をかけてもらっているようであった。
その間、職業や一体今何をしているのかなどを聞かれたので答えていると、先ほどの免許証情報から住所などの素性の確認がとれたのであろう、若い警察官の方が何かを伝えていた。
そうして自分が怪しいものではないと分かると、この道路は引き続き歩かせられない為、高速道路の次の出口までパトカーで乗せて行ってくれる事となった。
乗せて行ってくれている間、警察官の方が今回の自分の旅の動機や用意した荷物などについて聞いて尋ね、自分が答えるなど、少し雑談などをした。
この高速道路はたまに自転車に乗った人たちも通ってしまうとの事であった。勿論、自転車も通行禁止である。
そうしてお話しをしていると出口に着き、そのすぐそばの広めの休憩スペースにてパトカーからおろしていただいた。
改めてお詫びとお礼を伝え、再び歩き出す事とした。
2人の警察官の方が「頑張ってください」との声をかけてくれ、またそのうちの1人は「この旅で何かを掴んでください」との声もかけれくれ、とても有り難かった。
思えば、もう今までの間や今こうして「人の優しさ」と言うものに触れており、とても有意義な旅となっている。
ひょんな事から警察の方に(逮捕ではない意味の)捕まると言う経験をした訳であるが、蓋を開けてみると今日はかなり遅れ気味のペースで歩いていたので、このパトカーに乗せてもらったのは時間短縮になり、そう言った意味でもとても有り難かった。
それにしても、歩行者通行禁止の看板なんてあったかな〜と記憶を振り返りながら撮った写真を見ていると、

先ほど撮った写真に、その看板が写っているではないか!
大型車通行止めの大きな看板の存在感が強すぎて、見逃してしまっていた、、

パトカーに送ってもらった有り難みを感じながら、引き続き歩いて行く。
見ると、ごろごろした岩の合間を縫って川が流れている。空は雲がかかっているが、とても良い景色である。

景色が良いと、歩いていて本当に気持ちが良い。


奥に見える岩がまるで異国のもののようである。
マチュピチュ(行った事ないが)やアンコールワットを何と無く彷彿とさせる佇まいだ。
そうしてしばらく歩いて行くと、尿意が強くなって来た。
気づかなかったが、トイレが利用できそうな公園やコンビニなどが何もない道が今まで続いており、ここからもしばらくは無さそうであるがなんとか頑張って歩いて行く。
そうしているうちにかなり尿意が強くなって来て、必死に精神力で耐えながら歩いて行く。
段々と強まる尿意を抑える精神の鍛錬を続けながら歩いて行くと、道の駅邪馬トピアが見えて来た。

そしてここからが本番である。
何故かは分からないが、トイレが出来る場所が遠くに見える事により、トイレがやっとできると言う事実を頭が一旦理解してしまうと、これまで必死に抑えていた尿意のダムが一気に崩壊して大惨事となってしまう。
なので、それを防ぐためにはより一層強い精神力が必要となる。
そう言った理由により、ここからは一瞬の気の緩みも許されない過酷な闘いとなる。
時間にしてほんの数分であろうが、感覚的には30分くらいの長さに感じられる。
確実にこの尿意と言う魔物が力を増してくる。
こちらも、とにかく集中して数メートル前の道路をただじっと見つめながら、他の感覚や思考は出来るだけ遮断しながらひたすら足を進めて行く。
そうしてやっと道の駅のトイレに着く事ができ、事なきを得た。助かった。

情報館やレストラン、そしてお土産などの販売所やカフェなど、なかなか施設の整った道の駅である。
生憎、到着したのがちょうどこれらが閉まった数分後であった。
ソフトクリームに炒った蕎麦粉をふりかけたものであろうか、「そばソフト」なるものを売っているようであり、蕎麦好きの自分としてはかなり気になった。

蕎麦の自動販売機があり、とても珍しいと思った。

肩と足が疲れて来ていたので、この情報館の前のベンチで少し休憩をとる事とした。

相変わらず霧がかった空模様である。

歩いていると、青の洞門の看板があった。気になるので行ってみる事とした。

奥に見える岩の感じがやはり異国っぽい雰囲気で素晴らしい。

手作り感満載のお茶目な看板である。


迫力満点の岩が聳え立っている。見応えがあるな〜と感心しながら、その前を歩いて行く。

トンネルを手彫りで掘った和尚さんの像があった。
トンネルが手で掘れるとは、考えた事もなかった。凄すぎる、、

下には降りなかったが、「手彫り洞門はこちら」の看板があった。



30年をかけてトンネルを手彫りするとは、想像を絶する労力と意志力である。この方の掘ったトンネルの開通により、ここを通る人々が命を落とす危険がなくなり、またトンネルを利用した往来によって生活が便利になった事を考えると、これはもう偉業である。


コンクリート感が強い一般的なトンネルとは一線を画した珍しいトンネルだな〜と感じながら進む。

更に歩いて行くと、「日本一の8連石橋」の看板が見えて来たので、こちらも見にいく事とした。

これまた先ほどの岩山に続き異国感たっぷりであり、観光気分にさせてくれる。


そうして観光気分も楽しみながら歩いて行くと、枇杷の木や柑橘類の木があり、とても恵まれた気候なのだな〜と改めて感じる。
引き続き歩いて行くと雨が強めになってきたが、構わずに歩いて行く。
今日は雨で地面がかなり濡れているためテント泊は厳しそうなので、ホテルを探して予約をした。


そうして歩いて行くと日も暮れて暗くなってきた。
宿泊予定のホテルに近づいて来ると、昔の電車をモチーフにした「汽車ポッポ」と言うホテルがあり、とても面白いコンセプトのホテルだと思い写真を撮る。
汽車や電車好きには堪らない宿泊施設なのであろう。
そうして引き続き目的地のホテルを目指して歩いて行く。
今日はもう40キロ近く歩いているので段々と疲労もたまってきた上、雨で身体が濡れているのでなかなか辛いものはあるが、自分を鼓舞して辛さを意識しないようにして歩いて行く。

そうしてようやく「ビジネスホテルナカツ」に到着。
やっと温かいシャワーが浴びれると思うと、心が希望に満ち溢れる。

部屋に到着すると、とても安価な宿泊料にも関わらず綺麗に整えられた部屋であり驚く。これは有難い。
早速シャワーを浴びて、生き返る。

お腹がぺこぺこなので、晩ご飯を食べる事とした。一日のうちの楽しみな時間の一つである。

夕方に個人商店さんの前を通った際、お惣菜が売っている感じであったので入店し、ポテトサラダとりゅうきゅうを購入した。
ポテトサラダはじゃがいもが大きくてごろごろとしており、味付けもとても良い塩梅であり、きゅうりやハムの他に赤や黄色のパプリカまで入っているのも嬉しかった。

そしてこの「りゅうきゅう」であるが、
ひと口食べてみてその美味しさにびっくりした。
鰤などのとても脂の乗ったお魚の旨味に、酒や醤油や味醂の和風な調味料がまた良く合い、そこに生姜と胡麻の風味が合わさって味の大合唱となっている。
かなりの空腹だった事もあり、夢中で食べてしまった。
そしてお腹が幸せに満ちると、洗濯物をしにこのホテルから歩いて7分の所にあるコインランドリーまで走って行く事にした。
このコインランドリーにはソファーや雑誌が置いてあり、自動販売機もあるので飲み物にも事欠かない。大変便利である。
そして洗濯機と乾燥機を回している間に、ソファーに座って休みながら、この旅にて初めてパートナーと電話をする事ができた。
正味1時間ほどであったが、とても楽しい時間を過ごす事ができた。
そうして洗濯と乾燥が終わるとホテルの部屋に戻り、歯磨きなどを終わらせてベットに横になりながら明日の予定を立てているうちに寝てしまった。
なかなかに長い1日であった。
