4月20日
朝起きてテントを畳んでいると、自分のいる場所とは反対側にある広場にて、かなり早朝にも関わらず人が集まってきた。
そして何やらとても大きなものに空気を入れているようである。
マラソン大会のスタート地点にあるような、空気で膨らませる大きなゲートのようなものでも立てているのかな〜と思った。

そうしてテントの撤収が終わり、歩き始めると、その物体が気球であることに気づいた。
昔見た、気球が出てくる超マイナーな北海道ローカルCMの「十勝おはぎ サザエ」を思い出した。
しかし朝から阿蘇山をバックに気球が見れるとは、何か凄いものを見れたような気がして嬉しい気持ちになった。

今日はまあまあの距離を歩く予定であるので、これらの朝ご飯を歩きながら食べることとした。

朝から峠を越えていかなければならないため、上り坂を歩きながら朝ごはんを食べる。
昨日のスーパーで購入したおからボールと言うものをいただく。初めて食べてみたらとてもおいしかった。
いろいろな具材が入ったおからを丸めてコロッケのように揚げたものであり、これは他のスーパーで売っていても人気の出る商品になるのではないかと思った。
その後に食べた胡麻豆腐もまた、胡麻の味がしっかりと感じられて食感も良く大変美味しかった。

途中、眺めの良い休憩所で少し休憩を取る。そしてまた歩き始める。



長い上り坂を歩き、標高が高くなるに連れて見る景色も素晴らしいものになってくる。
人生も同じようなものなのであろうか。辛い思いはするが頑張っていると、気づいた時には今までの苦労が吹き飛ぶような素晴らしい経験ができたり、好機に恵まれたりする。
そんな事を考えながら歩いて行く。





長い登り坂を引き続き歩いて行くと、景色は変わっていくがどれも壮観である。
空には雲がかかっているが気温も暑くなく、歩きやすいのでとても有難い。

かつては道路が通っていたのであろう。山肌が土砂崩れによって崩れていた。

長い登り坂を終えると、下り坂に入る。
途中、放牧された牛さん達が草を食べていたりと、のどかな光景を横目に歩いていく。

下り坂の途中で南小国町へと入る。

豆腐屋さんの前を通ったので、おから和えと豆腐を購入。

展望台があったり、色々とお土産を売っている民間の観光施設があった。
トイレを利用させていただいたので、トイレ前の料金箱に利用料としてお金を入れさせていただいた。
ずーっと峠を歩いていて尿意が強くなって来ていたので、このような場所でトイレが利用出来るのはとても有難い。

米粉であろうか、グルテンフリーのバウムクーヘンを販売していた。
立地は山の中であるが、原材料にまで拘った商品を売っているのは凄いと思った。

引き続き下り坂を歩いて行き、街に入る。
風もまあまあ吹いているので、暑くもなく歩くのが楽になった。
途中、歩道が草で覆われており、その草たちが車道側に頭を垂れている。

車に配慮しながら歩道を歩いていると、もちろんズボンに花粉が付着する。

そうしてしばらく歩いていると、物産館があったので休憩がてら寄ってみる。


入り口のドアを入ると、近隣の温泉や飲食店の情報がずらーっと並んでいた。
これはとても分かり易いし、これだけ豊富な選択肢があると自分で好きな所を選んで行ける楽しさがあって素晴らしいと思った。


見切り品の不知火、飲むジャージーヨーグルト、そしてあか牛ハンバーグを購入し、物産スペースの隣にあるイートインコーナーにて休憩を兼ねた間食タイムとする事にした。
先ほどのお豆腐屋さんで購入した釜炊き豆腐とおから和えも一緒に食べる。
・あか牛ハンバーグは柔らかい上に思ったよりもジューシーであり、ひと口食べた瞬間に驚いた。
・釜炊きの豆腐はおそらく人生で初めて食べた。国産大豆を使っているので味が濃いめかと想像していたが、控えめな味であり食感が柔らかく、このままでも美味しいが薬味と一緒に食べたり何かの料理に使用するととても美味しい食材となる豆腐であると感じた。
・おから和えは酸味が効いている感じではあったが美味しい味付けであり、こちらもペロリといただいた。

飲むジャージーヨーグルトをひと口飲んでびっくりした。脂肪分が高めであるからか、濃い牛乳のコクが口の中に広がって行き、甘さもまた素晴らしいものであり、これなら満腹になるまで飲めると思ってしまうほど美味しく、あっと言う間に飲み干してしまった。
不知火もまた、甘味が素晴らしくペロリと平らげてしまった。

色々と美味しいものを食べて幸福感に包まれたまま休憩を終え、再び歩き出す。
途中、ピザーラのキッチンカーが停まっている所があった。初めて見たので興味深いと思いパシャリ。
キッチンカーにてピザーラの出来立てピザが食べられるのは、ピザ好きには嬉しいのではないだろうか。

更に歩いて行くとホッケーができる施設の横を通り、これまた興味深いと思い写真を撮る。
カナダ留学時代には国技であるアイスホッケーを見に行った事があったが、途中で選手同士の乱闘になり、その荒々しさに面を食らった(観客は盛り上がっていたので、乱闘にはパフォーマンスとしての一面もあるとは感じたが)。
この陸上のホッケーにも乱闘というものはあるのであろうか?とふと思った。

引き続き歩いて行く。パートナーが以前熊本に住んでいたと言う事でおすすめされた鍋ヶ滝を目指して行く。
ひたすらグーグルさんの示す通りに進んで行くので、途中で山の中のような所にも案内される。

桜が綺麗である。まだこの時期にも見れる桜があるのは嬉しい。

川のない場所で子供が釣りをしている??
と思ったら作り物であった。クオリティーが高くて面白い。道路に設置されているが警察的には良いのであろうか。
きっとこの道路のパトロールは、あのくまモンが担当しているのであろう。
ゆるキャラだけにパトロールもゆるいに違いない。

観光名所に近くなって来たと言えども、なんの変哲もない普通の道を歩いて行くので、目的地までは迷う事もある。
なのでこのような看板があるととても有難い。

そうして鍋ヶ滝公園に到着。
事前に情報を見ようと思い開いたホームページには「完全予約制入園(当日予約可)」と書いてあった。
なので、ここまでの道のりにて歩きながら、2回くらい失敗したもののなんとかスマホから予約をして入園チケット(300円)を購入していた。
だが鍋ヶ滝の入り口まで進み、その横にあるチケット販売所を見てみると、入園チケットを普通にそこで買えるようであった。心の中でずっこけた。
とりあえずチケットを見せて入場。
色とりどりの綺麗なチューリップが植えられていた。

鍋ヶ滝の説明が書いてあり、テンションが上がる。

ワクワクしながら進んで行く。

マムシが出る場所なのであろうが、まだ夏でもないので大丈夫だろうと勝手に思う。


そうして滝に到着。説明版にもあった通り、本当に綺麗な滝のカーテンである。
二十数キロ歩いてここまで来た甲斐があった。


そしてなんと滝の裏側へと行けるようになっていた!
これは大変珍しいと思い、早速裏側へと周る。
少しひんやりとしており、暗めではあるがマイナスイオンの効果なのか気持ちが良い。

とても傾斜のある岩が突き出ており、これはロッククライマーなら触りたくなるのであろうな〜と感じる。

きっとロッククライマーなら触りたくなるんだろうな〜。

きっとロッククライマーなら(以下同)


しかし本当に綺麗である。自然はこんな素晴らしいものを作り出したんだな〜と感慨深いものがこみあげてくる。

この角度からもやはり素晴らしい。

何度見てもやはり素晴らしい。
ここまで来るのに今日は峠を越えて来たので身体は疲れているが、だからこそなのかここまで来れた喜びや、この光景を目の前で見られる事の有り難さなどが身に染みて来てジーンとする。
4〜5分ほどであろうか、そのまま滝をずっと眺めていた。

そうして景色を思いっきり満喫し、鍋ヶ滝を後にした。
来る時には気づかなかったが、駐車場の端に看板があり、周辺の飲食店情報が書いてあった。これもやはり観光客にとってはかなり有用な情報であると感じた。

鍋ヶ滝に来る途中で見かけた、とても大きな杉の木がある鉾納社(ほこのみや)に寄って参拝させていただく。

相撲の土俵があった。手入れがなされているようであり、今でも定期的に相撲が執り行われているのかな〜と感じる。


とても立派な夫婦杉で驚く。向かって左側の杉が樹齢推定700年と書いてあり、その樹齢にまた驚く。
この夫婦杉を見ていて世代の移り変わりを想像してしまった。
杉と共に育った子供が大きくなり、伴侶を見つけて結婚し、子供ができてその子供が大きくなり、伴侶を見つけて結婚して子供ができ、やがてその子供の祖父母が亡くなってしまい、そして……
と言うように何世代も何世代もの移り変わりをこの夫婦杉は見て来たのだな〜と思うと、杉の樹齢から見る人間の一生があっという間に感じられてしまう。
短い人生、自分と自分の周りの人の幸せのために生きて行きたいと改めて感じた。

そうして感慨深い気持ちになりながらも、今日の目的地であるキャンプ場を目指して歩く。
段々と足裏の皮が痛くはなってくるが、歩けない程ではないので頑張って足を進める。
途中、行った事のない名前のスーパーがあったので食料調達に寄る。
新しいスーパーを巡るのは本当に楽しい。どんな商品を売っているのか、お店の雰囲気はどんな感じか、どんな曲が流れているのか、など色々と新しい発見がありワクワクする。

食料を購入した後は、残る体力を使いキャンプ場まで歩いて行く。
疲労がかなりたまって来て途中で雨も降って来たが、もう少しだと自分に言い聞かせて一歩一歩進んで行く。
そのうち、あと0.8キロと言う看板を見る。この様な案内があるのが本当に有難い。
しかし、目的地までの距離が分かってしまったあとがとにかく辛い。
「百里の道を行くものは九十を半ばとす」のような諺を中学生くらいの時に習ったが、まさにその通りだと感じた。
今までの疲れがどっと押し寄せて来たのに加えて、足裏の皮の痛みがピークに達して来てしまった。一歩一歩がかなりの激痛である。
更に、道がかなりの登り坂であるので、30歩ほど進むと立ち止まって少し休憩をし、また30歩ほど進むと足裏の痛みにより立ち止まる事となり休憩をすると言うのを繰り返し、自分を鼓舞しながらゆっくりではあるが進んで行く。
そのうちに雨足も少し強まって来て、キャンプ場に到着する予定の時刻が刻々と迫ってくる。
そしてスマホの電話が鳴った。出てみると、キャンプ場のオーナーさんが心配して電話をかけてくれていた。お気遣いがとても有難い。

そうしてようやく、「阿蘇レインボーバレー」さんへと到着。
疲労もあった為ここまでの道のりがとても遠く感じたので、到着できて本当に嬉しかった。

坂道を下って行くと、受付のある建物に辿り着く。とても立派な建物で驚いた。
受付に誰もいないようであったので、もう一つの建物(喫茶店のある建物で、こちらも立派である)に入ると、先ほど電話をしてくれたオーナーさん(奥さん)が出迎えてくれた。
改めて先ほどの建物にて受け付けをしてくれると言うので、有り難くさせていただく。

途中、綺麗な水が流れていた。
これは飲める水との事で、このような綺麗な水に恵まれた場所で泊まれるのは有難いと思った。
受け付けをしていると、オーナーさん(奥さん)がなんとコテージを使わせてくれるとの事でとても驚いた。
“今日ここまで歩いて来た事”と“今現在、雨が降っている事”を考慮して自分を気遣ってくれたのであるが、この優しさが本当に有り難かった。
雨の日のテント設営や撤収、その後の晴れた日にテントを乾かす時間や労力を考えると色々と大変な作業であるため、それらをしなくても良いと言うオーナーさんのこの優しさが、疲労困憊で雨に濡れた自分の心と体にとても沁みた。
早速、コテージを利用させて貰う事とし、荷物を肩から下ろした瞬間に安心したからか疲れがどっと押し寄せて来た。とりあえず雨に濡れた身体を綺麗にしようと、温水シャワーを利用させて貰う事とした。
そしてなんと100円で温水シャワーを利用できるのにも驚いた。こんな低価格で使わせてもらって良いのであろうか。
有り難くシャワー場にて熱めのお湯を浴びさせていただき、身体を綺麗にする事ができてとても幸せであった。
そしてコテージへと戻り晩ご飯を食べようとしていると、なんとオーナーさん(奥さん)が食べ物をお盆に乗せて持って来てくれたではないか!
これには本当に驚いたと共に、その気遣いにもう感謝しかなかった、、
そしてなんと、こたつまで使わせて貰えるとの事で、もう本当に感謝で胸がいっぱいであった、、
お盆を見てみると、おむすび作りの名人が作りましたと言わんばかりの完璧なフォルムの手作りおにぎりが2個、昔小さい頃によく食べて大好きだった「チキチキボーン」に似た辛うま手羽先が3本、手作りの筍の鰹節和え、バナナ、コーヒー、りんごゼリー、そして手作りアーモンドクッキーと、とても豪華な品々。
お腹がぺこぺこだったのもあり、またお気遣いいただいた事への有り難さなどもあり、色々な意味で温かいこの晩ご飯は涙が出るほど美味しかった。
間違いなく今までの旅で1番美味しいご飯であったと共に、疲れた身体と空っぽの胃に沁み渡った。
美味しいご飯で心身共に満たされて更にこたつで温まった後、改めてオーナーさん夫妻にお礼を伝え、コテージに戻り歯磨きなどをした後で布団で眠らせていただく事とした。
美味しいご飯にこたつに温かい布団、こんなに贅沢をさせてもらって良いのであろうか。贅沢の極みである。
本当に幸せだな〜と思いながら布団に入ると、数分もしないうちに眠りに落ちてしまった。
色々あったが、本当に幸せな一日であった。
